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世界の自然-Real Nature

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自然を眺める時間も必要ですねっ^^v

2009年10月5日月曜日

私立大学の収益構造に与える外部環境の変化

少子化による全入時代到来とか、大学の破綻とかいう話を耳にするようになりました。学校環境を取巻く環境が大きく変遷していると考えています。
実際にどの外部環境の変化が、大学経営に影響しているのか気になり、GW中に少し調査し、私になりに分析していました。

■テーマ:外部環境の変化が、中堅私立大学に与える収益への影響

■仮説

*1.学校経営における収益構造

①納付金(いわいる授業料です):70%
②私学助成などの補助金:10%
③その他(資産運用による収益、事業収入、雑収入、寄付金ect):20%

*2.現在の収益構造に与える、外部環境の変化

①への影響→入学者数減  少子化による入学者数減に加え、規制緩和により大学数が増加。「株式会社 大学」のように構造改革特区のように認められています。

②への影響→私学振興助成法というのがあり、文部科学省から補助金が出されますが、まず、骨太の方針により、国立大学法人への運営交付金や、私学振興助成の補助金は、毎年1%程度カットされています。 さらに、この補助金は、一般補助(主に、学生の教育のため)と、特別補助(主に、研究や社会貢献的なもの)があるのですが、文部科学省は、特別補助の比率を高めています。 現在の特別補助の割合は、1/3だったかと思いますが、これが増える傾向です。

これが何を意味するかなんですが、一般補助は、主に、専任教員数・学生数(定員数)が主要な因数となっていて、この因数に対して、定員充足率などをキードライバーとする一定の割合を乗ずる事で一般補助額が決定されます。一方、特別補助は、文部科学省が設定した、採択事業などへ応募していかなくてはならず、取りに行かないともらえない補助金になります。 結果、強い大学は、より強く、弱い大学はより 弱くなるような補助金の配分になってくると考えられます。

③への影響→この中の配分として大きいのが、資産運用による利益です。ここは、サブプライムからの不況により、利益が出にくくなっています。また、逆に、利益どころか、新聞紙面を、にぎ合 わせた大学による金融派生商品により大きな損失を出している大学もあります。

■一般的な中堅私立大学の「収益」に与える外部環境の要因:「定員充足率」
大きな要素は、下記の*1にあるように、一般中堅私大における、学校経営の収益構造は、7割程度が、学生生徒等納付金収入に支えられています。
納付金=入学者数×授業料です。また、入学者数=定員×定員充足率と分解可能です。

平成元年以降右肩下がりとなっており、文部科学省のH19年度の調査では、平成元年には、130%あったこの数値が、H19時点で108%になっており、大学全入時代目前である事を示しています。 また、定員充足率における100%未満の学校数の割合を見ることで、大学競争の激化を認識できます。

■「定員充足率」にみる大学間競争
H19年時点では、約40%が定員割れ状態を起こしています。 また、行政も大学間競争を後押ししており、これは、*2にあるように、補助金の配分により見て取る事ができます。
一般補助は、元々、定員充足率が一つのキードライバーとなるのですが、定員充足率の減少により、一般補助も少なくなると共に、申請による特別補助の割合を増加させる事により、大学間競争を推進されます。研究・社会貢献の強い大学により、傾斜配分されるようになります。

■学校法人における収益モデルの仮説

現在の大学経営における計上敵な収益モデルは、主の定員充足率を独立変数とした、一次関数で示されると考えられる。
 Y=A*B*X+B*C*X+α+β+γ・・・(1)

○従属変数 Y=帰属収益
○独立変数 X=定員充足率
○定数
・A=授業料:特定大学の既存モデルを前提とした場合、定数と考えられる。
・B=定員:文部科学省からの規制もあり、また、既存モデルを前提とした場合、定数と考えられる。
・C=私学助成金の学生数依存分。H20年度では、充足率100%で、26千円/学生 Z=教員数
・α:特別補助。定員充足率が、50%となった場合には、特別補助も出ないので影響があるが、ここでは、一般中堅私大における収益構造を考えるためここでは考慮しない。
・β:その他収益(資産運用益、事業収入益、雑益など) γ:一般補助の教職員依存分
 ○関数
 ・f:一般補助。但し、学生数/教員数、教育研究費支出/学生納付金収入にも依存します。

■変化率 式(1)を微分した場合、A*B+C*B →(A+C)*B

■シミュレーション:10%減少した場合:1,026,000,000円
A=1,000,000円
B=10,000人
C=26,000円

■結論

平成9年から平成19年の間で、定員充足率が34.1%減少(一次関数的にではない)している。 今後も定員充足率については、その動向を見守る必要があるが、少なくとも、数年以内に定員充足率が10%減少するのであれば、上記のシュミレーションでみたように、10億円程度の収入減を余儀なくされる。

この金額は、キャッシュフローにも直結しており、そのまま、「教務活動におけるキャッシュフローの減」に直結する。大学の破綻とは、資金繰りが立ち行かなくなった場合に破綻する。 上記、シミュレーションで見たように、1万人規模の大学の場合、毎年発生する10億円のキャッシュフロー減があれば、運用可能な資産で、何年まかなえるか。

資産比率の大きな大学においては、早期な課題であると考えられる。
帰属収益の増加のビジネスモデルを構築するのか、支出減に応じた支出構造にビジネスモデルを構築するのは、大学の個性(強みや弱み)やアドミッションポリシーにも依存すると思うが何れにしても、財務戦略に立脚した、大学経営戦略及び、業務プロセスの変革急務と考えられます。

 これまで、規制産業による参入障壁・入学者数の増加により大学経営は、右肩上がりの護送船団方式でした。そのため学校法人においては、変革の経験がありません。
 外部環境は、大きく変化しています。これまでのビジネスモデルの延長戦上ではなく、スクラップアンドビルド方式のゼロから見直す時期に来ているかと考えております。「財務戦略に立脚した大学経営戦略」と「業務プロセスの変革」が早急に必要かと考えます。

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